33歳女性、失踪を決意 - 彷徨うキムンカムイ

消毒液の香りと死臭が混ざった病院のベッドの上で決意した。死か、遁走か。 3年前から昨年初にかけて、コロナ関連業種で大打撃を受ける会社を必死で立て直していた。使えるものは何でも使えと思い、亭主の極太実家に土下座をして投資してもらった。全ては成功した。が、今度は私生活の方がメチャクチャになった。

夫の不貞行為。不貞相手の中絶。
離婚、財産分与による経済的損失。
SNSで知り合った男とのしょうもない恋愛。
しょうもない恋愛後に発覚した、僅か数%しかないと言われる確率の妊娠、堕胎。
その男について発覚した性加害の事実。

https://x.com/Hal_2045/status/1703854434277855499?s=20x.com

最早精神は限界、包丁を腹と足の数か所に刺してその時を迎えた。再び自死を試みるのは難しい。自殺未遂の患者の病室はマキシマム・セキュリティ。ではどうするか？ちょうど一人、家族にとんでもない奴がいた。地元で物狂ひの名を轟かせる母……ではなくて、その物狂ひから逃げて中東に飛んだ私のきょうだいである。こいつは「コンセプトデザインから工業製品の3Dモデル制作まで何でもできる」「トランス男性」「トップレベルの美大から別の美大に編入」等とレア属性てんこもりである。何よりも特徴的なのは……逃げるのが、上手い。正確には逃亡のアイデアを頭の中に沢山持っている。彼女（彼）と連絡を密に取り、計画を練った。

計画はこうだった。