彷徨うキムンカムイ

家の鍵失くしちゃった

抑鬱状態_4

新幹線で1時間揺られ、5つの国のことばでアナウンスが流れる車両に乗ると、大抵は窓辺の灯も消え始める時間帯になる。降車すると徒歩40分ほど歩き、見慣れた一軒家に包丁を持って侵入した。侵入した家屋では2組の男女が休んでいる。手切れ金と土下座だけだった男の両親と、男に新幹線に飛び込んで死ぬと予告した女。同世代の馴染みの女性との普通の結婚に勝るものはない、いずれ君にも分かるだろうと言った男。私は全員を滅多刺しにした。

玄関を出ると馴染みのハイエースが止まっていて、その中から眼球だけを動かして私を咎める人がいた。彼の身体の硬直は間もなく心臓に達するだろう。ウインドウ越しに目礼して歩き去ろうとする。

 

***

 

朝日が差し込んできて、実はまだ新大阪駅近くの事故物件にいると気づいた。布団の中で「ああ神様、今日も罪を犯さずに済みました、人を殺めずに済みました」と嬉し涙を流しながら祈った。また夜が来て、眠っている間に身体が動くまいかと不安になる。左手と机の足を手錠で結んで布団に入る日もあった。

 

14年か15年ほどの時を経て、またあの悪夢が再開した。この少し前までは「愛情表現」として行われた恐ろしい発言と、彼と私の友人との間にあった酷い出来事に気付いた日のこと、そのほかにも色んな事実が夢に出た。

夜眠ると凶器を片手に集合住宅を見上げている。股ぐらが痛い。子宮がまだ痛い。明日は2箇所の通院がある。